仙台の人と街を応援する企業家組合


by crosby2
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松本清張 顔

昨年末から松本清張作品が多くテレビで放送されたが、ついにNHKでこの
松本清張作 顔 2009年12月29日午後9時から放送された。

松本清張は1955年から「顔」で推理小説を書き始めたのだ。
1957年この『顔』が第10回日本探偵作家クラブ賞を受賞した作品である。

出演:谷原章介 、原田夏希 、高橋和也 、大地康雄 、中本賢
音楽:佐橋俊彦
原作:松本清張
脚本:中園健司
松本清張生誕100年にあたり、清張の原点ともいえる傑作短編「顔」をドラマ化した作品。

昭和31年の東京、売れない劇団俳優・井野(谷原章介)は、同じ劇団の看板女優・瞳(原田夏希)が主演する大作映画の相手役に抜擢(ばってき)される。一躍、スターへの道を歩み始めた井野。しかし、井野には秘密の過去があった。映画が注目されて「顔」が売れ、過去が暴かれることを恐れた井野の心に、過去を抹殺するためのシナリオが芽生える。
という作品。

私はこの作品が一番気に行った。感情移入という点で、私は完全に作者や製作者のその意図に
まんまとハマリ、意に沿ってしまった。私の中の悪意や逃げの姿勢、誤魔化そうとする心理と、
成功したい、認められたいという相反する意志が欲望が、葛藤が、映像の中に溶け込み
このままではバレてしまう、この先には進みたくない、という心理からか
この先を見たいのに見たくない、という負の心理を導き出し、一度VTRを止めてしまったほど。
結局は見てしまうのだが、久々にそんな心理に陥ってしまった。

松本清張作品は読んでよし、映像化してよし。
『小説帝銀事件』で扱った現実世界は、『日本の黒い霧』にまとめられ、「黒い霧」は流行語になった。この中で描かれた現実の中に、私の母が当時務めていた宮城県庁で実際に府中警察署の刑事から取調を受けた、(平沢貞通死刑囚が名刺交換した一人が県庁に務めていたのでそれに関して取調べを受けた)という経緯から大変身近に感じていたせいもあるし、砂の器の和賀英良などどうしても刑事役ではなく、被害者側でもなく、被疑者役に感情移入してしまう作りに、引き込まれやすい単純な思考回路のせいか、それとも日本の戦後の闇が私の中に澱のように溜まり巣くっているせいかは分からぬが、犯人のどう仕様も無い闇に引かれてしまうのだ。

主演の谷原章介さんは今回 素晴らしかった。人間の細胞内に巣食う本性を上手く演じていたと思う。
原田夏希さんは愛らしくその笑顔が切ない 。
高橋和也さんの顔は私には怖く映った 。
大地康雄さんの刑事役は 、ハマリドコロ。
中本賢もいい味出してました。

間違いなく、近年の松本清張作品の映像化の中で、秀逸な出来であったと、私は想う。
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by crosby2 | 2009-12-29 23:45 | 散文